物流を支えてくれている人たちへの感謝から貢献していきたいという想いが芽生える

 

 

物流危機は終わらない――暮らしを支える労働のゆくえ (岩波新書新書 

2018/12/21初版

 
あとがきより、下記を抜粋
 
 「今、物流現場には変化の兆しがみられる。世間では運賃の値上げばかりに注目が集まっているが、変化はサービスの内容にまで及んでいる。長年にわたって享受してきた低価格や利便性が揺らぐことに、困惑と動揺が広がっている。
 物流危機は、突然、私たちに降りかかってきたように思える。しかし実は、私たちの目の届かないところで、長い時間をかけてじわじわと、危機を引き起こす素地が作られてきた。本書は、トラック業界の深刻な人手不足を、規制緩和と過当競争、運賃の低下と労働条件の低下、働く者の権利よりも荷主や利用者の都合が優先される商慣行などから論じてきた。
 私たちが得ている「安さ」や「早さ」が、働く者の長時間労働や過労死と引き換えに存在するならば、それは果たして社会的公正に適うのか。本書の出発点は、そうした問題意識にあった。本書が、労働の視点から暮らしや経済をみつめ直すきっかけとなれば、うれしく思う。